毎年、道新文化事業社は北海道日本ハムファイターズのオフィシャルカレンダーを制作し、販売してきました。11月30日、2022年カレンダーの販売を開始しました。今年はヒストリカルカレンダーとして、球団が北海道に移転した2004年のシーズンから18年間の歩みを写真で振り返る内容になっています。1月の04年と05年シーズンから、毎月カレンダーをめくる度に歴史が進むといった体裁になっています。カレンダーとしての用途はもちろん、記録集としての価値もあります。
毎年、カレンダーを制作し始め販売する頃から、次年度の大型事業の準備が本格化し、年末の挨拶、取引先や関係団体、社内の忘年会が続き、忙しい師走を過ごすのですが、昨年に引き続き、社内の忘年会は行いません。それでも来年に当社が主催、共催する大型事業の準備を進めており、一部の事業告知がスタートしています。
6月6日から12日まで札幌文化芸術劇場 hitaruで上演する舞台「千と千尋の神隠し」はすでに全国ニュースで話題になっています。現在、北海道新聞本社(中央区大通西3)ロビーの北1条通り側ガラス面にポスターを掲示し、道新プレイガイド店頭にチラシを設置しています。千尋役(Wキャスト)の橋本環奈、上白石萌音の2バージョンです。チケット発売は年明けに予定しており、北海道新聞紙面や道新プレイガイドオンラインストアのホームページで、発売の詳細をリリースします。
【写真】千と千尋の神隠し ポスター 2種
また、現在日本国内を巡回している「バンクシー展 天才か反逆者か」は3月から札幌で開催が決定しています。当社もこの展覧会に関わります。既に会場の東1丁目劇場(旧北海道四季劇場、中央区大通東1)西側の中央バスターミナル敷地に屋外看板を設置しています。道新プレイガイドではチラシを置いています。
【写真】バンクシー屋外看板
この1年間を振り返ると新型コロナウイルス感染症の影響がまだまだ大きいということです。20年は2月下旬から半年以上、まったく、主催事業を開催することができませんでした。売上が「ゼロ」です。中止した公演の宣伝費用など経費が発生し、収支は「マイナス」です。21年は当初、ワクチン接種も進み、夏ごろから公演が可能だと予測し、準備を進めてきましたが、緊急事態宣言発令による入場者制限、道民の移動・外出控えにより、開催しても、収支がとれない公演が続きました。感染対策を万全に行うための人的、物的な措置による経費もかかりました。
このような状況の中で、入場者のみなさんや出演者、関係者から公演後、温かい励ましの言葉をいただきました。また、公的機関の助成金、補助金を活用することにより、マイナス面を補ってきました。当社の場合は、諸先輩や現在の社員の努力により、この10年間に財務体質を強化していたこともあり、経営上の不安は業界他社に比べて少なかったと思います。
そして、一番助かったのは、社員、スタッフ、役員全社一丸で日々感染防止に努めてきたことです。毎日、店頭でチケット発売に対応するスタッフ、会場で感染対策を講じ、不測の事態に対応できるようにしていた公演担当者、公演の中止、延期による払い戻しなどチケットコントロールを的確に遂行した担当者、助成金などの申請業務や感染対策費用の扱いなど初めて経験する業務を一から進めた総務担当者、組織として、この危機的な状況に対処した社員、スタッフには感謝します。そして、この経験によって新たなビジネスの展開につながることができると断言します。
この1年間、様々な事業を開催してきましたが、緊急事態宣言発令中により宣伝ができず、チケット販売が伸びなかった公演の中には、本当に質が高いものがありました。もちろん私たちの宣伝方法がうまく機能しなかった面もあるかもしれません。その中で、カムカムミニキーナの演劇「サナギ」札幌公演(8月28、29日、道新ホール)がとても印象に残りました。日本古代、神話の世界と現代のつながりを演劇化した作品で、多様な解釈、つまり演劇を通して、見る者が一つのことでなく、複数の相反する解釈ができる作品でした。久しぶりに質の高い作品を見ました。演劇では20年前に釧路市浪花町の倉庫で見た「ゴドーを待ちながら」(緒方拳、串田和美の2人芝居)以来の感動です。その時の入場者は200人に届いていなかったと記憶しています。
もっとたくさんの人に見せたかった!どうしてお客さんが入らなかったのか?コロナの影響だけでなく、主催者(道新文化事業社ほか)の工夫と努力が足りない!主催者の感性と文章力を高めることが必要だ!と痛感しました。今年の大きな反省の一つです。興行の世界では「質が高くても集客が難しい」、「通の評価は高いが興行的は失敗」といった公演は少なくありません。そうした公演を一人でも多くの道民に接してもらうことも当社の使命です。そのためには、経営を安定させることはもちろん、社員の感性と情報力、発信力を高めて良質な公演を開催して、効果ある宣伝によって一人でも多くの人に感動の場を提供することが、経営者の務めです。
【写真】『サナギ』公演のチラシ