昨シーズンからスキーを再開した。最後に滑ったのは下の子どもが中学生の時だから15年ぶりだ。この10年間、春から秋まではロードバイクを楽しみ、冬は近くの体育館でエアロバイクとマシーンを使って、有酸素運動と筋力トレーニングを行ってきた。しかし、感染症の影響もあり、体育館に行くことは難しくなった。それでも、免疫力アップと血糖値コントロールのために運動は続けなければならない。そうして、スキーを始めることにした。
先日、1人で夕張市のマウントレースイスキー場に行ってきた。昨シーズン休業した同スキー場は昨年12月に再開したが、敷地内のホテルは営業休止状態だ。北広島市の自宅から車で1時間、カーラジオでピーター・バラカンさんの「ウィークエンド・サンシャイン」(NHK-FM)を聴きながら、1時間で到着。さっそく、ゴンドラ・リフト4時間券をクレジットカードで購入した。60歳以上のシニア料金は2700円で500円引きの販売、1日券は3500円だが、4時間以上滑る体力はない(料金はいずれも税込み)。
土曜日にもかかわらず、スキー場は空いていた。4人乗りリフト、6人乗りゴンドラのいずれも同一グループもしくは個人に乗車を限定するルールになっており、感染リスクはない。ゲレンデも密にならない。ツアー客や初心者も少なく、気を使うことが少ない。レストランはアクリル板仕切りがついた4人用テーブルに1人だ。感染者が増大している状況で、安心して活動できるのがうれしい。
【写真】マウントレースイスキー場山頂ゴンドラ駅付近
私のスキー技術力は上達していないが、雄大な石狩平野や夕張山地を眺めるだけでもストレスが発散する。密を避ける冬のスポーツとして、スキーはお奨めだ。天気が良ければ、気の向いた時に出発し、3~4時間滑り、帰りに長沼や南幌の温泉に寄り、帰宅したら、冷たいビールと温かい鍋を楽しむ。八王子と旭川に住む子どもにLINEでその写真を送信して、自慢している。ゴルフは相手がいなければプレイできないが、スキーは1人でも遊ぶことができる。人と時間に縛られず、楽しめること、成績や順位もないこと、これが1人スキーの魅力だ。
【写真】せり鍋、寒い日は温かい鍋に限る。
さて、スキーを再開したことで、感じたことがある。北海道のスキー人口が減少していることだ。マーケットの縮小である。地元のスキー人口は明らかに減り、スキー関連ビジネス(富裕層向けを除く)に影響を及ぼしてきた。他のアクティビティと同様に少子高齢化の影響と思われるが、レジャーとしてスキーの魅力が薄れていることが要因の一つかもしれない。スキーはもともと家族、グループで行動するレジャーだったかもしれない。スキーが男女の出会いの場となった時代もあったようだが、最近、デートでスキー場に行ったという話を聞いたことがない。統計にも数字が現れていると思うのだが、実際に経験したことは、街中(まちなか)でスキー道具を揃えるのが難しくなっていることだ。一昨年12月、会社帰りにスキーを買おうと思ったが、大通や札幌駅周辺でスキー用品を揃えている店が見当たらない。休日に郊外店で買うことになったのだが、「アルペン」が見当たらない。また、スキーを扱っている店を見つけて、板と靴を見ていたが、店員を見つけるのが大変で、どれを買うべきか途方に暮れてしまった。
家族が車を使うことがあるので、今シーズンは、JRやバスを使ってスキー場に移動することも考えている。快速エアポートを利用すれば、手稲山や小樽天狗山に気軽に行ける。帰りにビールを飲むことができる。実行に移す前にスキー板や靴を収納するケース、バッグを買ったのだが、またもや郊外店に頼らざるを得なかった。大袈裟な言い方だが、地球環境を守るべく公共交通機関を利用するためにガソリンを消費しなければならない。小さな都市なら理解できるが、冬季オリンピックを開催した人口200万人弱の都市の話だ。
もう一つは感じたことは、リフト券や交通料金、宿泊等をセットしたスキーパック(旅行商品)が少ないことだ。Googleで検索すると道外発の北海道スキーツアーは見つけやすいのだが、北海道内のツアーは少ない。昔はJRが乗車券とセットとなったリフト券を販売していた記憶があるが、私が調べたところ、JRでは扱っていないようだ。トマム日帰りJR券昼食付のリフト券、欲を言えば小樽天狗山1泊寿司付スキーパック、手稲山日帰り電車バス(またはタクシー)乗車券+手稲本町焼鳥クーポン券などの商品を開発できないのだろうか。もったいない気がする。グループ客はもちろん、シニア世代の個人を対象とした商品は需要があるように思うのだが・・・
さらに感じたことは私が行く小規模なスキー場ではIT化というかDX化が進んでいないことだ。キロロリゾートなど大きなスキー場ではネットでリフト券を購入できるが、スキー場に到着しないとリフト券を買えない、クレジットカードも使えないスキー場もある。昨年は15分近くリフト券を買うために並んだこともあった。リフト券を買う手間と時間を軽減することができないだろうか。
市街地から離れている場所で、従業員が売上金と釣銭を扱うことを想像してみよう。毎日、売上金とつり銭を銀行に運んでいるだろうか?大きな金庫に保管しているのか?営業終了時にお札と硬貨を数え、合わない場合は、人里寂しい環境で残業するのは辛くないのだろうか?担当者が感染または濃厚接触者になるとスキー場を閉鎖するリスクがあるのではと心配してしまう。
このような心配は、公演チケットを扱っている道新プレイガイドでも数年前まではあったが、道新プレイガイドのオンライン化や店頭でのクレジット、電子マネー決済化によって、現金の扱いは減ってきた。
道新プレイガイドオンラインシステムや北海道新聞社1階道新プレイガイド店舗で道内各地のスキー場リフト券を扱うことができないだろうか。スキー場とスキー客両方にメリットがある。宣伝効果にもつながる。公演チケットの仕組みを利用するため低コストで実現できそうだ。
早速、「セールスプロモーションを!」と思ったが、すでにスキーシーズン中で、今年は間に合わない。 It's too late. (David Bowie - Station to Station)
最後に一言、2030年冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動が進められているが、「ウィンタースポーツと北海道民」の視点が弱いようだ。道民の大多数は学校でスキーを習ってきた。彼らが、気軽にウィンタースポーツも再開できる環境づくりが必要だ。海外、道外の富裕層への取り組みは大事だが、地元の人たちが気軽にスキーを楽しむことが北海道の経済を活性化できるのではないか。ウィンタースポーツが盛んな地域こそ、冬季オリンピック・パラリンピックの開催地にふさわしい。私たちは、人工雪を降らさなくても、スキーができる北海道に住んでいるのだ。
【写真】冬季オリンピック・パラリンピック札幌招致期成会「サポーターズクラブ」メンバー募集のチラシから