新型コロナウイルス感染症の影響で、これでもか、これでもかというほど公演の中止や延期が続きました。道新文化事業社は2020年2月下旬から約半年間、主催事業をまったく開催できませんでした。まったく開催できないということは入場収入が「0円」だったということです。この時期は多くの同業他社も売上金がなかったと思われます。
昨年夏から会場収容人数50%以内の開催制限で公演は再開されました。その後、制限は緩和されましたが、今年5、6月の緊急事態宣言中は制限が強化され、一部の公演のチケット発売中断や払い戻しでお客さまにはご迷惑をかけました。
さて、たび重なる延期を経て、ようやく開催が実現できそうな公演の話をします。札幌出身のお笑いコンビ、アップダウンの2人芝居音楽劇「桜の下で君と」です。


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公演チラシ


19年12月、アップダウンの竹森巧さんと阿部浩貴さんにお会いしました。11月に東本願寺札幌別院で上演した「桜の下で君と」を今度は大きな会場で舞台設備が整った道新ホールで再演したいとの話でした。私たちも「特攻隊」の教官と教え子が鹿児島県の知覧飛行場から沖縄に向けて出撃する過程を描いたこの作品を幅広い年代、特に若い人たちに見てもらいたく、主催することを決定しました。早速、制作・営業グループ社員の池畑君は20年5月23日(仕込み)と24日(本番)の2日間、道新ホールを押さえました。ちなみに池畑君は駒大苫小牧高校野球部出身で現在は道新野球部のエース。フットワークが軽く仕事が迅速です。彼は着々と公演に向けて準備を進め、2月21日にチケット発売を開始しましたが、コロナウイルス感染症の拡大です。物理的に上演が不可能となり、延期日も決めることができず中止としました。


夏に入り、アップダウンの2人から、道新ホールの舞台で無観客ライブとして上演できないかとの声がありました。私たちは主催に入りませんでしたが、アップダウンは8月に、半世紀以上の歴史を誇る道新ホール初の無観客ライブを実現し、YouTubeで期間限定配信を行いました。


配信も好評を得ましたが、やはり生の舞台を行ないたいとのことで、21年4月の公演に向けて、道新ホールの予約しました。来年の春は、ワクチン接種も進み、感染症の影響が弱まるのではないかと想定していましたが、年末から感染は再拡大しています。そろそろ発売日に向けて動きださなければならない時期ですが、発売日を遅らせる措置をしましたが、感染者は減りません。残念ながら、再延期を決断し、8月21日に変更することを決定しました。


二転三転した「桜の下で君と」公演です。「桜の下で君と」以外にも中止→延期→再延期をしてきた公演は少なくありません。さらに、審査会、展覧会とリンクする公募展の運営はそれ以上に複雑です。会場のキャンセル、チケット払い戻し、出演者ほかのスケジュール調整などなど業務は厳しくなります。そしていつ終息するのか見えないコロナ感染症の中で仕事をする精神的なストレスが重荷になります。コロナ禍の試練はまだ続きそうです。


そうした中で。私たちはこの1年以上、感染防止対策を講じて、多くの公演を主催してきました。感染者は出していません。業種別ガイドラインを順守し、お客さまが安心して、鑑賞できるように上演を目指しています。

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「桜の下で君と」より


私の最後の道外出張は20年雪まつり直後の沖縄県名護市でした。その後、飲みに行くこともなくなり、読書の時間が増え、沖縄戦に関する書籍を集中的に読んだ時期がありました。太平洋戦争で、日本国内唯一の地上戦となった沖縄戦は、たくさんの北海道出身兵士が戦い、尊い命、それも若い命を落としました。都道府県別の戦没者は沖縄県に次いで北海道が多いとのことです。沖縄を守るため、鹿児島県の知覧飛行場から片道の燃料で飛び立った特攻隊のことを「桜の下で君と」を通して知ってほしいと思います。特攻隊がなぜ生れたのか、どんな思いで特攻隊を志願したのかを考え、日本の近現代史を学ぶ機会になればと望みます。
私も配信で見ましたが、重いテーマを上質な音楽と笑いのエッセンスを加味して、心に残る作品に仕上げています。さすがお笑い芸人アップダウンです。
また、彼らは松浦武四郎を主題とした劇「カイ」を制作しています。近いうちに、この作品も道新ホールで上演していきたいと考えています。


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私が読んだ沖縄戦、特攻隊などの書籍
 

 道新文化事業社の社員はアーティスト、落語の師匠、相撲の親方、書家、美術家、スポーツ選手など各方面で活躍する方々と出会うことが多々あります。彼らと交流することによって、社員のスキルが向上し、知的好奇心も高まっています。しっかりした思いを持ち、前向きな姿勢で仕事に取り組むアップダウンの2人との出会いを大切にしながら、北海道の皆さんに良質な公演を紹介してきます。


「桜の下で君と」8月21日(土曜日)13時開演、道新ホール
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