2017年03月

続・続ジャケ買い(またはジャケ美術館・その2)

調子に乗って、ちょっと珍しい現代オペラのCDから。



①ファウストの物語

シュニトケの「ファウスト物語」。アルブレヒト指揮ハンブルク国立歌劇場、1995年。世界初録音=写真①。
ゲーテの名作ではなく、1587年出版のファウスト民話に基づく。音楽はジャケ写真のように強烈。



②こびと

ツェムリンスキーの「こびと」。ジェームズ・コンロン指揮ケルン・ギュルツェ ニッヒ管弦楽団、1996年=写真②=。
原作はオスカー・ワイルドの童話「スペイン王女の誕生日」。醜いこびとが王女の誕生日の贈り物(おもちゃ)として王宮に届けられる。自分の醜さを知らないこびとは王女に恋をしてしまう。切ない幕 切れの悲劇。ツェムリンスキーの音楽は大変すばらしいのに、なぜかほとんど上演機会がない(ロサンゼルス・オペラの上演映像DVDがある)。東京フィルのオペラ・コンチェルタンテ・シリーズでの国内初演(沼尻竜典指揮、オーチャード・ホール)を、わたしは見ることができました。



珍品オペラはジャケットも面白いのがたくさんありますが、載せていくときりが 
ないので、このへんで。




最後にワーグナーを。「トリスタンとイゾルデ」(バーンスタン指揮バイエルン放送交響楽団)=写真③④=は当初、CD5枚組で分厚い箱に入っていました(1万5000円もした)。

③トリスタン

④トリスタン箱

箱の背にも同じイラストが描かれており、当時まだ娘が幼かったため、教育上の配慮からこれをCD棚に収められずに隠しておいたことを思い出します。





⑤ワーグナー

おまけにワーグナーの珍盤=写真⑤=。これは裏側をみたところ。つまり、ジャケットではなくディスクそのものが面白い。円盤ではなく、ワーグナーの肖像の形に切り抜かれているのです。よく見ると耳にはト音記号のピアスが。ちゃんと音がでます(ただし、スロットイン式のプレイヤーは試していません)。




以上、いずれも輸入盤のみ。バーンスタインのトリスタン以外は、今は入手できないようです。

続・ジャケ買い(またはジャケ美術館・その1)

前回の続編として、所有しているものの中から、ジャケットが面白いLP、CDをわたしなりに選んでみました。

①消えた男の日記


まずは前回の「消えた男の日記」の別の盤。ニコライ・ゲッダ(テノール)が原語チェコ語で歌っています=写真①。
これはLPでは出ていないので前回のと公平に比較するのは難しい。右下にフクロウをあしらうなど、イラストとしてはこちらの方が手が込んでいるかもしれませんが、女性の存在感は薄いように思います。




②画家マティス

ドイツの作曲家、ヒンデミットの交響曲「画家マチス」のジャケット=写真②=は、まさにこの企画(ジャケ美術館)にぴったりの作品(ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮ロンドン交響楽団)。奇怪な絵はマックス・エルンストの「聖アントニーの誘惑」。この画像は買い直したCDのものですが、12センチ角の小ささではLPサイズのように隅々を見る気にはなかなかなりません。




③火の鳥


写真③はかつて大きな話題を呼んだストラヴィンスキーの「火の鳥」(ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィル)。いくつかの場面を選び出した組曲版が演奏されることがほとんどなのに、ブーレーズは1910年版のバレエ音楽全曲を世に問うたのでした。細密画のようなジャケットの火の鳥が、精緻な演奏とぴったり合っていると絶賛されました。

ジャケ買い



「ジャケ買い」という言葉があります。音楽そのものというよりジャケット写真に惹かれて音楽ソフトを買うことです。逆に、優れたジャケットは、中身の音楽も保証していることが多いと多くの人が感じているのも事実です。

その「醍醐味」はやはり、縦横30センチという大きさのLPレコードにこそあった、とオールドファンは思うのですが、どうでしょうか。


青春時代の印象に残るジャケットがあります。チェコの作曲家ヤナーチェクの歌曲集「消えた男の日記」(ドイツ語版)です。
素朴な農家の若者が、当時タブーだったジプシー女性との恋に落ち、ふるさとも家族も捨てて、ジプシーと行動をともにします。家族には若者の日記だけが残されました。チェコのモラビア地方にあった実話です。


テノール独唱とピアノ伴奏。ごく一部だけにジプシー女性のアルト、状況説明の女声合唱が加わるという変則的な編成。音楽はまことにドラマチックです。

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ジャケットは少女のイラスト。こちらを見つめる黒い瞳に吸い込まれそうになったものです。



ジャケットも音楽も素晴らしい名盤だと思うのですが、CDで再発売されたときは、なんともつまらないジャケットに変わってしまいました。


さて、録音で楽しむ音楽は、ネットからのダウンロードが急速に普及しています。そこにジャケットはありません。
音源だけではありません。パソコンソフトも店頭で買うのではなく、ダウンロードで済ませてしまう。飛行機に乗るとき、コンサートやスポーツの会場に入るとき、チケットではなくバーコードによる認証が普及しています。モノより中身・機能の時代です。



道新文化事業社は新しいチケットシステムを導入中です。御多分に漏れず、チケットレス化も可能です。
ただ、チケット半券を記念に残したいファンが多いことも忘れないでいたいと思っています。


写真はペーター・シュライアーが歌った「消えた男の日記」のLPとCDのジャ 
ケット


中古大好き

最初に買ったクルマは中古車。クルマは今も、中古で十分と思っています。


月に何度かは市内の古書店を回ります。ネットオークションに抵抗感はなく、たまにですが買い物をします。
ネットの中古CD販売サイトはなるべく欠かさずチェックすることにしていて、これはかなり頻繁に利用します。

というわけで、私は中古に抵抗感のない人間です。というより、中古大好き人間といってもいいくらいです。


特に趣味のCD。このごろはあまり興味をひく新譜が出ない。


それに比べれば、中古市場はまさに宝の山です。クラシック音楽に親しんでウン10年、さまざまな情報が頭に入っているはずなのに、「へぇ、こんなのがあったんだ」という珍盤に巡り合うことが今でもある。
LPレコードなら傷は致命的ですが、CDで鑑賞に耐えない中古盤に当たることは稀です。解説書などの書き込みは興ざめですが。

私どもが扱っている商品、チケットにもこのごろ中古品が出回ります。といっても、使用済みではなく、未使用品のいわゆる横流しです。



これは困る。



裏ルートでの高額チケットの横行は、ファンを公演から遠ざけることにつながる。巨費が闇の世界の資金源になる恐れもある。

業界団体の日本音楽制作者連盟などは、昨年からチケットの高額転売に反対するキャンペーンを行っています。有名アーティストが名前を連ねた新聞広告やポ スターを目にした人も多いことでしょう。

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古書や中古CDと同じで、「正規ルートでは手に入らないのだから仕方がない」と思う人もいるかもしれません。

何とかしなければならない。業界は、都合で公演に行けなくなった人のチケットの流通ルート整備を計画しています。新システムの登場に、私たちも注目しています。


写真はチケット高額転売に反対するポスター

美しき機械

クルマのダッシュボードや航空機の操縦席(写真で見ただけですが)、工場の内部…。
「男子」にありがちな傾向かと思いますが、こういった機械系に美を感じます。機能もさることながら、その佇まい自体が美しく、見ていて飽きないのです。

このごろ特に魅かれるものがあります。

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カメラです。

両手で構え、ファインダー(またはディスプレイ)をのぞきながら構図を決め、指の操作でピント、露出を調整していく。
あの小さな機械の全身に配置されたパネルやスイッチは、無理なく操作できるように工夫された結果ですが、それがまたほれぼれする美しさなのです。


道内の写真家が感性や技術を競う第64回写真道展の準備が進んでいます。道新文化事業社は北海道写真協会の事務局を預かり、写真道展の運営もお手伝いしています。先日、審査会が北海道新聞社で開かれ、大賞ほか各賞が決まりました。

審査にあたったのは、協会のベテランたち。女性も多く、みなさん美しい機械を構えたらかっこいい、美しい人たちばかりです。


写真は美術や書道のような創作とは違います。機械の力を借りて「そこにあるもの」を写し取るのですが、それでも、「作家」ならではの味が色濃く表れるところが面白い。

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審査結果は近く新聞紙上に発表され、作品展は5月に道新ギャラリーで開かれます。また、展覧会に先立って、北海道新聞は主要作品を紹介する特集面をお届けする予定です。楽しみにしていただきたいと思います。

さて、機械なら何でも美しいかというと、そうはいきません。カメラと同じ「ショット」という言葉を使う拳銃は、怖いイメージが先立ちます。同じ飛行機でもステルス爆撃機などは不気味です。
人の命を奪う機械は「奇怪」な外観をしているようです。


写真は昨年の写真道展の作品集
   美しき機械

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