「かえるの王様」という童話があります。
ある王女が泉に金の鞠を落としてしまった。カエルが現れ「わたしを友達にして、同じ皿で食事をし同じベッドで寝かせてくれるなら、鞠を取ってきてあげよう」と申し出る。王女はいったんは同意して鞠を取り戻すが、気味悪がって約束を破る。しかし、事情を聴いた父王は約束を守るよう命令。王女はカエルと食事を共にし、いよいよ寝室へ。しかし、どうしても一緒に寝ることができず、カエルを掴んで壁にたたきつける。と、カエルにかけられた魔法が解けて立派な王様が現れ、二人はめでたく結婚して末永く幸せに暮らす、というあらすじです。
どうにも腑に落ちません。自分を嫌い続け、命まで危険にさらす女性に、なぜカエル王は求婚したのか。そんな結婚がうまくいくものなのか。
と思っていたら、別バージョンがあることがわかりました。王女はカエルにキスをし、それで魔法が解けたというのです。
これなら納得できますね。
キスが魔法を解くという物語はほかにもあります。わたしの得意分野であるワーグナー作品では、英雄ジークフリートが、眠るブリュンヒルデ(ワルキューレの長女)にキスして目覚めさせます(楽劇「ジークフリート」)。
そして、何といってもなじみ深いのが、「白雪姫」と「ねむれる森の美女」でしょう。
ただ、白雪姫には、毒のリンゴを吐き出すのをきっかけに眠りから覚めるという別バージョンもありますが。
25日には札幌・わくわくホリデーホールで、バレエ「ねむれる森の美女」の公演があります。子供たちが楽しんで見られるよう上演時間を短縮し、ストーリーにも手を加えたもの。世界的に高く評価されている東京バレエ団が踊ります。
まだ席に余裕があります。親子連れはもちろん、カップルや大人おひとり様でも楽しめる内容。本物のバレエと楽しい舞台に触れるのはどうでしょう。
写真はバレエの名場面(PRチラシより)
Photos:Kiyonori Hasegawa