「なぜシマウマは家畜にならなかったのか」


多方面にわたる研究と多くの著作で知られるジャレド・ダイヤモンド氏の名著「銃・病原菌・鉄」に、こんなタイトルの章がありました(上巻第9章)。

人間は、動物を飼いならすことによって、その力を活用し食料にもして、文明を発達させてきました。

この本によると、家畜候補になりうる大型草食動物148種ありますが、家畜にできたのは14種にとどまるといいます。エランドやヘラジカなど、近代になっても新しく家畜化する研究がおこなわれてきましたが、どうしても成功しなかったというのです。
シマウマの場合は、人に噛みついたら絶対に離さない習性がある(動物監視員で噛まれてけがをした人は、トラに噛まれた人より多い)。投げ縄を避けるのがうまくて鞍を付けられない―。家畜にならなかった理由がいろいろ挙げられています。

この本は優れたノンフィクションとして米ピュリツァー賞受賞。日本では草思社文庫(上・下)として現在も売れ続けています。



さて、5年ぶりに札幌で開かれている木下大サーカス。海外のパフォーマーも加わってハラハラドキドキの技をみせてくれますが、ライオンやゾウ、そして問題のシマウマの動物芸も人気です。

牙をむきだしにするライオンや巨大なゾウに比べれば、シマウマはかわいい。でも、ピュリツァー賞受賞作をたまたま読んでしまったわたしは、シマウマのときに一番体がこわばります。



6月に始まった公演は早くも1か月を過ぎ、8月29日の千秋楽までほぼ折り返しになりました。
もちろん、シマウマもほかの動物やパフォーマーたちも、百発百中の成功を見せてくれています。
その背景に、どれほどの困難で息の長い訓練があったことか。想像することもできません。

観覧チケットは道新プレイガイドで承っています。夏休みを前にして、グループで続きの指定席を確保するのは残念ながら難しいほどの人気となっていることをご了承ください。
IMG_2397