連休にはふさわしくない話題ですが、残念なことに、葬儀に出る機会が多くなりました。
音楽好きとしては、式場に流れる音楽が気になります。式場や葬儀社に任せると、オルゴールなどで邪魔にならない曲が使われるようです。

先日は、エルガーの「威風堂々」が壮麗に鳴り響く式に出させていただきました。意外ではありましたが、おそらく故人のお気に入りだったのでしょう。人柄がしのばれて効果的でした。
そういえば、カラオケ好きだった故人の遺言か、演歌が流れる式もありました。

クラシックだと、ベートーベンの第3交響曲(英雄)の第2楽章、ショパンのピアノソナタ第2番の第3楽章は文字通り葬送行進曲で、代表的な葬送の音楽です。モーツァルトやフォーレの「レクイエム」という手もあります。

暗く沈み込むような音楽は、会葬者にもぐっと迫ります。それでも、葬儀という儀式に先立って使うには重すぎると感じる参列者もいるかもしれません。

静かで心を落ち着けて故人をしのべる音楽、故人のやすらかな旅立ちを思わせる音楽が理想であるに違いありません。バッハやヘンデルのゆっくりした曲を選べば、ほぼ間違いなく目的にかないそうです。



ワーグナーが大好きな私は、「ジークフリート牧歌」がいいかな、と今のところ思っています。



興味のある方はYou Tubeでいくつも演奏を見ることができますので、どうぞ。

壮大な音楽で知られるワーグナーですが、この曲は妻コージマ(作曲家で大ピアニストだったリストの娘)の誕生日のために作曲しました。前年には息子ジークフリートが生まれています。葬送とは対極の目的で作曲されたのですが、穏やかで慰めも感じられ、「あり」でしょう。世界中でこれを葬儀に使う人は皆無かもしれませんが。

この曲の主要な旋律は、ワーグナーの楽劇「ジークフリート」(つまりワーグナーは息子に自作楽劇の英雄の名前を付けたのです)第3幕でも使われます。葬送つながりで言うと、「ジークフリート」の続編の楽劇「神々の黄昏」で英雄ジークフリートは殺されてしまい、その場面には有名な「ジークフリートの葬送行進曲」が流れます。

これこそ葬送音楽というべき、荘重で壮大な名曲ですが、自分の葬儀に英雄の葬送曲を流すのはさすがに気恥ずかしく、考慮の余地はありません。