小学1年生用の教材「にちようびのさんぽみち」で、パン屋が和菓子屋に書き換えられたという「郷土愛騒動」には、あきれた人も多かったことでしょう。
書き換えの主体は、批判されている文部科学省ではなく同省の意向を忖度(そんたく)した教科書会社のようですが、ことほどさようにお役所の意向は民間を縛り、国民生活に影響を与えます。

同じ文科省で、全国の書道関係者の期待を集めている施策があります。小中学校国語科の書写の拡充と、今後予定される高校書道への「延伸」です。小さいうちから毛筆に親しむことは、書道の普及促進に欠かせないからです。


期待は道内の書道界も同様です。


道新文化事業社が事務局をつとめている北海道書道展(以下、道展と記します)は、58回目となる今年の展覧会の大賞、準大賞、入選作品が決まりました。5日の朝刊で紹介しています。


実は道内の書道界も高齢化が進み、道展の出品数も少しずつ減しています。担当者には知恵の絞りどころです。幸い、若い層に関しては出品料を引き下げた効果が現れてきました。
書道は芸道としても魅力の高いものですが、そこまで究めなくても、日常や社会生活のいろんな場面で役に立ちます。今回、道展に挑戦した若者たちには、それぞれの道で筆を持ち続けてほしいと願わずにはいられません。


さて、北海道が書道王国と言われていることは、関係者以外にはあまり知られていないかもしれません。その基礎をつくったのは松前町出身の故・金子鴎亭氏(1906~2001)ですが、現在大きな影響力をもっているのは札幌市在住の中野北溟氏(北海道文化賞など受賞多数、1923~)です。
文科省の話に戻りますが、高校教科書「書道I」で、全4社に採用されている唯一の現存作家でもあります。道民として誇っていいことだと思います。


4月26日から開かれる第58回展覧会もぜひご覧いただきたい。作品は道新プレイガイドのホームページから入れる書道展受賞者発表のページでも近く紹介する予定です。


書道展

写真は書道展の入賞・入選者を伝える4月5日の道新朝刊