「ジャケ買い」という言葉があります。音楽そのものというよりジャケット写真に惹かれて音楽ソフトを買うことです。逆に、優れたジャケットは、中身の音楽も保証していることが多いと多くの人が感じているのも事実です。

その「醍醐味」はやはり、縦横30センチという大きさのLPレコードにこそあった、とオールドファンは思うのですが、どうでしょうか。


青春時代の印象に残るジャケットがあります。チェコの作曲家ヤナーチェクの歌曲集「消えた男の日記」(ドイツ語版)です。
素朴な農家の若者が、当時タブーだったジプシー女性との恋に落ち、ふるさとも家族も捨てて、ジプシーと行動をともにします。家族には若者の日記だけが残されました。チェコのモラビア地方にあった実話です。


テノール独唱とピアノ伴奏。ごく一部だけにジプシー女性のアルト、状況説明の女声合唱が加わるという変則的な編成。音楽はまことにドラマチックです。

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ジャケットは少女のイラスト。こちらを見つめる黒い瞳に吸い込まれそうになったものです。



ジャケットも音楽も素晴らしい名盤だと思うのですが、CDで再発売されたときは、なんともつまらないジャケットに変わってしまいました。


さて、録音で楽しむ音楽は、ネットからのダウンロードが急速に普及しています。そこにジャケットはありません。
音源だけではありません。パソコンソフトも店頭で買うのではなく、ダウンロードで済ませてしまう。飛行機に乗るとき、コンサートやスポーツの会場に入るとき、チケットではなくバーコードによる認証が普及しています。モノより中身・機能の時代です。



道新文化事業社は新しいチケットシステムを導入中です。御多分に漏れず、チケットレス化も可能です。
ただ、チケット半券を記念に残したいファンが多いことも忘れないでいたいと思っています。


写真はペーター・シュライアーが歌った「消えた男の日記」のLPとCDのジャ 
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