器(うつわ)

6月4日、空知の奈井江町にある「コンチェルトホール」という素敵な音楽ホールで、ギターを弾いてきました。

このホール、座席数246と小ぢんまりしていますが、音響特性はただものではない。特にギターのように、音量よりも音のニュアンスで勝負する楽器には、演奏の腕が2ランクぐらい上がったように感じられるほどです。


内外の著名な演奏家の中にも、このホールにほれ込んだ人が何人かいるそうです。
例えば、メゾ・ソプラノの波多野睦美さんは、「世界で3本の指に入る」と、絶賛なさったと言います。
愛好家人口の少ない立地、しかも少ない収容力とあっては、演奏会の開催回数自体も限られざるをえないでしょう。
しかし、ひとたびこのホールで演奏すれば、そのすごさは明らかなのです。


アマチュアとはいえ、演奏する者にとってホールはただの空間ではありませんし、ステージは、ただの木の台ではありません。ホールを「器(うつわ)」と呼ぶのは、料理の味が「器」の良しあしに影響されるのにも似ています。


わたしたちギター仲間の間で「年に1度ぐらいは、飛び切りのホールで演奏してみたい」という話が持ち上がったのは3年前の2014年でした。


その中に美唄市在住者がおり、このホールに目が留まりました。札幌市内・近郊の施設に比べれば、使用料が格段に安いのも、すごく大きな魅力です。


参加者を募ってその年に第1回を開き、翌15年に第2回、昨年はお休みして今年は3回目の演奏会でした。わたしは毎回参加させてもらっています。
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出演者は旭川から札幌まで総勢17人。合奏、重奏、独奏と18のプログラムを奏でました。


うまくいった人もしくじっちゃった人も、コンサートの後は打ち上げで盛り上がったことは言うまでもありません。




※コンサートホールではありませんが、ギター弾きの間では、中島公園にある北海道文学館のロビーも、音のいい演奏会場として知られています。
宣伝になりますが、24日にはここで演奏します。
文学館ちらし

「6弦6人3様~ギター・デュオ・ジョイント・コンサート」。18時30分開演、無料。ペア3組のコンサートでわたしの相方は妻です。ご関心おありの方はおいでください。

直接と間接




サッカーとホッケーの違いは、ギターとヴァイオリンのようなもの。



と言うと、何のこと? と思うかもしれません。


人の体と目的の物との間に何かがはさまっているか、いないかの違いです。
球を足で蹴る、弦を指で弾く「直接」に対し、球や弦がスティックや弓の先にある「間接」。


どっちが優れているかという問題ではないにせよ、間接の方があとに生まれたもので、パフォーマンスは良い、と言えそうです。野球で言えば、どんな強肩選手でもバットを介したホームランのように遠くまでボールを投げることはできません。


楽器の世界では、弓で間接的に弦をこするヴァイオリンやチェロなどの楽器群(ヴィオール属)だけが、それらのために書かれた名曲とともに近代以降世界中に普及、首座を占めています。


政治学、文学、音楽と多方面の評論で活躍する片山杜秀氏は、ヴィオール属全盛の背景に近代ヨーロッパ人の精神構造があると述べています。
「そう、その楽器の発達史は、ルネサンスから啓蒙と科学の近代に向かう過程、それすなわち万能の神に人間が成り代わり神殺しを行ってゆく歴史とまったく雁行しているのだ」(「音盤博物誌」アルテスパブリッシング)。

深い分析だと思います。


難しい話はさておいて、ヴィオール属の中でも人間の声域に一番近いチェロを使って、これまで誰も響かせたことのない音楽を奏でる「2 Cellos」 が、2年ぶりに札幌公演を行いました(5月19日ニトリ文化ホール)。



今回は弦楽オーケストラを伴ってチェロ本来の深々とした音色も聞かせてくれましたが、後半は例によって電気増幅の技術を駆使したロックミュージックでした。会場総立ちで大いに盛り上がりました。

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※写真は5月18日函館公演の様子


これを見て、なぜギター(直接)ではなくてチェロ(間接)なのだ? などというのは野暮というものでしょう。

ドッカンドッカン

落語や漫才などお笑い系の世界で、大いに受けるさまを「ドッカンドッカン」と表現するのをご存知の人も多いでしょう。


「ドッカンドッカン笑いを取る」

「ドッカンドッカン受けた」


などと使います。落語の本や落語家のインタビューなどでもよく出てきます。



5月17日道新ホールで開いた道新寄席「春風亭昇太独演会」も、まさにドッカンドッカン笑いの渦でした。


それにしても、なぜ「ドッカン」という言葉を使うのか。いろいろ調べましたが、よくわかりません。

昭和50年代の漫才ブームでのB&B(島田洋七、洋八)で、洋七が当時の客の反応をこのように表現していたという分析がネットに載っていました。
何となく大阪より西から出たような感じはしますね。

会場が一斉に笑いに包まれる。しかも、瞬間的に爆風のように、それも立て続けに次から次へと。これは客席でよりも舞台上の演者の方が身をもって感じるのかもしれません。

爆発音(擬音語)、とても大きい、とても重い(擬態語)―。そんなときに「ドカン」「ドカッと」「ドカドカ」という言葉を使います。
そのいずれでもない「ドッカンドッカン」。言われてみれば、爆笑に次ぐ爆笑を表現するのにぴったりの言葉のようです。

さて、東京・大阪の落語界でもその存在が評価されている「道新寄席」。今年も多彩な顔ぶれでお届けしています。その年間スケジュールと落語豆知識を収めた小冊子ができました。ご希望の方は道新プレイガイドまでどうぞ。

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写真は道新寄席年間スケジュールの小冊子

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